そもそも私は一般人で

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 * ――そもそも私は女であって、普通は女の部屋に男はずかずか入ってこないものだ。 そんな男は不躾な人なんだと相場は決まっている。 だが、彼にそんな常識は通じると思えなくなってきていた。 それに彼は私のことを何故か男だと勘違いしている。 確かに胸は大きくはないし声が可愛らしいわけでもない。 むしろ俎板と言われても仕方ないし、母似のハスキーボイスだ。 ……やべ、自分で言っててちょっと切ない。 とにかく、制服はパーカーのようなローブさえ着ていれば何を着ようが自由で、私は動きやすさ重視でスラックスにしているし。 ……そうやって男のようだからといって、女の部屋に勝手に入っていいはずがない。 そんな考えが一瞬のうちに頭の中を駆け巡り、ようやく絞りだした声はか弱いものだった。 「……あの、何で居るんですか。シドさん」 .
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