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「あ、そうだシド」
私は彼に一つだけ言い忘れていたことがあった。
それはとても大切な事だ。
「さっきの告白、私が女だったらどーすんですか」
「……あー」
シドはいまさら気付いたようで、長々と声を伸ばしたあと、うっかり、と呟いた。
やれやれ、と私は頭を抱える。
俺様でどうしようもなく傲慢なくせに、細かいことには気付かないみたいだ。
私が女だって事にも全然気付かないし。見てて面白いくらい。
――私は、彼が私が女だと気付くまで、男のふりをしようと思います。
……と、いうか、あえて性別を言わないでおくだけですが。
どうせ胸ないしスカートもないし女らしいものなんて何一つないんだから。
それに母が言ってました。
魔法使いは男のほうがうまくいくって。
賭けましょうか、多分シドは言うまで気付かないと思います。
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