27人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
そんなある日の、任務終了後。
日頃の疲労が祟ったのか、俺はぶっ倒れた。
ふと目を覚ました場所は、俺の部屋じゃなかった。
真っ白な天井に、小奇麗に片付けられた部屋。
「ここ、は―――……?」
ゆっくり視線だけで周りを見渡す。と、ここが何処かなんて、すぐに分かった。
「気がついた?……いきなりぶっ倒れるから驚いちゃったよ、全く。」
……この皮肉っぽい言い回しは―――カナリヤの他にない。
「…悪ぃ。ここ、お前の家か?」
ベッドから起き上がりながら言うと、ヤツは慌てて俺の身体を押し戻す。
「駄目だよ!まだ起きちゃ!!……すごくうなされてたから……まだ気分優れないんじゃない??」
(…何、だって?
俺が、うなされていた―――…?)
カナリヤに視線を向けると、ヤツはそれだけで俺の言わんとする事を悟ったらしい。
コクン、と頷くと淡々と言った。
「……俺が殺した、って、言ってたよ」
「……そっか。」
俺は無意識のうちに、まだあの男の事を引きずっていた事を、ヤツの一言で悟ると小さく応えた。
途端、生まれる沈黙。
俺はカナリヤから視線を逸らして、その空気を耐え忍ぶ。
長い沈黙を破ったのは、カナリヤの方だった。
「……ねぇ、何を想っていたの。」
最初のコメントを投稿しよう!