Little love birds

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長いこと誰かと会話を交わしていなかったせいか、こんな他愛もない会話にさえすっかり調子が狂う。 何も言えず黙り込む俺の様子を見ると、カナリヤはふ、と何かを思い立った様な顔をして、再度その手を差し出した。 「ほら、握手まだだったでしょ、手ぇ出してよ。」 しばらく戸惑っていると『早く、早く』と急かされたから、俺は躊躇しながらその手を取った。 するとヤツが満足そうに笑って、ギュ、と俺の手を握り返す。 その、柔らかい笑顔と、握られた手の暖かさに妙に心がむず痒くなって、 俺は随分と久し振りに―――笑った。
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