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ガキの頃、両親に裏切られて、死ぬような思いで食い扶ちを繋いで。
ヒト、という生物に憎悪を抱いて。
いつしか、涙さえ忘れて。
飢えた狼の様だと言われて。
「愛」なんてモノは、この世に存在しないモノだと思っていた。
…だから、罪を背負って生きていくしか術がなかった。
―――辛かった。
―――誰かに手を差し伸べて欲しかった。
―――誰かに、抱きしめて欲しかった……。
あれから暫くカナリヤの胸を借りていた俺は、急に気恥ずかしくなって、勢い良く顔を上げた。
その顔が心底まぬけなツラだったのだろう。
カナリヤが笑ったから、俺もつられて―――笑った。
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