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それから数時間後、俺達2人の携帯電話が一斉に電子音を奏でた。
『2月16日 金曜日 AM1:45~
都内○○ビル浸入 個別管理データ』
簡単に記された内容。今宵の任務。
―――何故か俺は、いつも通り受信したはずのメールに、初めて強烈な嫌悪感を抱いた。
真っ白な部屋にはまた、沈黙が続く。
「……ねぇ。」
ふいにカナリヤが小さく呟いた。
いつもとは違う、思いつめた様な声にビク、と身体が反応する。
「何だよ……?」
それを悟られないようにぶっきら棒に答えると、ヤツは言った。
『もう、辞めちゃおうよ、こんなの』
「え?」
意図が分からなくて、聞き返す。
「―――だから。2人で逃げちゃおう。
どっか、遠い所に。」
ヤツが言いながら差し出した手を、俺はもはや―――拒まなかった。
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