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任務を放棄する、という事は『死』を意味する。
逃げ出したエージェントが他者に組織の秘密を漏らしてしまってはたまらないからだ。
実際にこれまでも、逃走した同胞が何人も口封じの為に命を落としたか知れない。
―――だけど、俺達は走った。
やがて上が仕向けた同業者が、俺達を殺ろうと追ってくる事を知っていたけど。
ヤツに出会って、やっと『感情』を取り戻した俺に、―――これ以上、罪を重ねる事は不可能だった。
小奇麗な真っ白い部屋に、自慢の拳銃と半分に折った携帯電話を残したままで、
俺達は走った。
俺がまだ、コヨーテだった頃は、生きるのが辛かった。
(だけど、今は―――)
皮肉にも、背後に『死』が迫った今は。
俺に『感情』を与えてくれたコイツと。
(一緒に、生きたい)
とてつもなく、そう思うよ。
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