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「随分とお悩みの様だね、」
突如隣で響いた声、に、俺はビクンと反応すると素早く胸元に手を突っ込んだ。
そのまま勢いよく顔を上げると、いつの間に隣に座ったか知れないソイツと、視線が絡み合う。
(しまった、)
と思ったが、それは一瞬だった。
俺の隣に腰を下ろしていたソイツは、人懐っこい笑みを浮かべて、ふわふわとした金色の髪を弄りながら俺の方をじっと見つめていた。
「……誰だ」
思わず問うとソイツは、『いきなり不躾な質問をするね、』と笑って自己紹介を始めた。
「初めまして、だね。コードネーム飢えた狼(コヨーテ)さん。
僕も君と同業者といったトコで、コードネームは金の小鳥(カナリヤ)。
―――ボスに言われて、次から君と共に任務を遂行することになったから……以後ヨロシク。」
金の小鳥(カナリヤ)と名乗ったソイツは、淡々と言い終わると同時に握手を求めて、俺の方へ手を差し出した。
スッ、と差し出されたその手を目前にして、俺は戸惑う。
(初対面のヤツとコンビを組めとは……上は何を考えているんだ)
いつだって一匹狼だった俺が、コンビプレイなんて出来る訳、ない―――そう考えているとカナリヤは唇を尖らせて言った。
「ほら、眉間にシワ、寄ってるよ」
その言葉と同時に、ピシ、と額に指をつきたてられる。
「……余計なお世話だ。」
俺はその指をうざったい、という様に払いのけながらぶっきら棒に答えた。
「うっわー、可愛くないね」
「……うっせぇ」
「駄目だよー、人間もう少し愛想が良くなきゃあ」
「………。」
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