8人が本棚に入れています
本棚に追加
チチチチ…
いつものように小鳥が囀ずる朝、この日、藤咲アヤナはいつもよりも慌ただしい朝を送っていた。
『もー、なんで起こしてくれなかったのよー!』
アセアセと着替えるアヤナの口から出てくる文句の声に、母が答える。
『起こしたわよ?それにハァイって返事もしたじゃない、覚えてないの?』
わからない…。
しかしそれを入学式当日に確認している余裕はない。
焼きたてのバタートーストをかじりながら家を飛び出すなんてシチュエーションはよくあるパターンだが、よもや自分がやるとは。
なんて思いながらアヤナは走った。
学校の予鈴が鳴り響くと同時にアヤナは校門を駆け抜けた。
教室に入りかけたアヤナと同じくして白衣を纏った男性が近づく。
「おはよう。」
そう言われたアヤナはオウムのように挨拶を交わす。
先生の声で教室にいた皆が一斉に席につく。
黒板に書かれた白石透(しらいしとおる)の字を書き終えて、教室の沈黙は破られた
「まずは自己紹介、私は白石透だ3年間君たちの担任を勤める事になった。これからよろしくな!」
アヤナはさっき白石先生と会って挨拶を交わした時に、優しそうな先生だなと思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!