込み上げる想い

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入学式から1週間が経つ桜岡学園には校門から校舎まで咲き乱れた桜の花びらが休むことなく舞っていた。 各学年は7クラスに分けられ、学園の至るところに生徒がいる。 アヤナ、ミキ、ハヤテはB組。アヤナは転校してきたハヤテとは初日に話す機会があり、既に他の連中よりもその距離を縮めていた。 教室に入るとハヤテは既に学校に来ていたらしく、鞄が机の上に置かれていた。 アヤナの頭にはハヤテと話したことがフラッシュバックしている。窓際を眺めていながらこちらに向かってくるパタパタした足音に気づいた。 『おーっす!アヤナ学校来んの早っ。』 顔を起こして見上げると高野ミキがハツラツな顔をして上から見下ろしていた。 『いつもこんな感じだよ、ミキも早く来なよ~、HRまで話せるしさ!』 『うーん、でもあたし、朝は苦手なんだよねぇ』 頭を軽く掻きながらミキは舌を出して笑った。 アヤナも釣られてクスッと笑って見せる。そんな他愛ない話をしてるアヤナとミキの目に飛び込んで来たのは、入学式を終えて早々にやってきた美男子転校生、観月ハヤテだった。手には大きな封筒を持っている。
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