誰よりも遠く

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閉じたカーテンを開く。 暗闇の向こうにはやっぱり暗闇が続いていた。暗い暗い空の高い所にいくつかの星。 朝になったら散歩に行こう。 また、会うかもしれない。それは怖かった。でも期待もしていた。 きっとまた会話はできない。吐きそうになるかもしれない。もっと変なやつだと思われるかもしれない。 でも、会いたい。 カーテンを握りしめる。洗濯していないからざらざらする布地。不潔を気持ち悪いと思うことさえ久しぶりだ。 会いたい。 あたしはあの日、あの寒い冬の朝、確かに恋をしていた。 恋愛なんて感情はもう、あんまりにも遠すぎる。 それをもう一度思い出したくて、あたしは暗い空を見つめていた。 この夜の向こうにきっと何かがある。 夢見るような妄想を、ずっと忘れていた。 今のあたしはあの頃よりずっとバカで、ちょっと賢い。 誰からも遠い一人の世界は、どこよりも寒いことを知ってる。
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