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目が覚めたのは夕方だった。
いつの間に眠ったんだろう。泣き過ぎたのか目が痛い。
布団から抜け出て、いつもならドアの前に置かれているご飯を食べるかパソコンを立ち上げるかの二択。
どちらもする気がおきない。
敷布団の上に座ったままぼーっとしていた。何分も何分も。
どうしてあたしは泣いたんだろう。
彼に会ったという事実があたしの心に鋭く突き刺さった。
向こうはあたしのことをどう思っただろう。真っ先に社会から脱落したあたしのことは知っているかもしれない。知らないかもしれない。
どっちにしろきっと、あの朝のことを思い出したのはあたしだけだ。
辛かった。苦しかった。悲しかった。
タカウチは昔のままだった。少し変わってはいたけど、小さい時から成長していたそのままのラインを突き進んだ、まっとうな二十歳の青年がそこにいた。
あの日と同じ、早朝の道に立っていた。
あたしをどう思っただろう。変なやつ?間違ってない。むしろ大正解。
悲しかった。
「久し振り」って言って少し笑う、そんな当たり前のことができない自分が最低に思えた。
彼を大好きだった頃の気持ちはまだ消えきっていなくて、ぎゅうぎゅうと胸を締め付けた。
痛い
苦しい
何やってるんだろうあたし。
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