誰よりも遠く

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ぼうっとしているだけでも夜は来る。 電気の消えた部屋の中で一人。色んな事を考える。 でも建設的な思考を失って久しい脳みそはやっぱり現実と向き合ってくれなくて、ひたすら過去のことを思い返していた。 記憶の引き出しにぶち込んだままになっていた、まともだった頃の思い出たち。 変わってしまったあたし。 変わらない記憶。 変わらない気持ち。 変わらないあいつ。 何度も涙腺が緩んで、もう流すものなんて残ってない目が痛む。 ぐるぐるとループし続ける思考。 ふっと、顔を上げた。
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