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もう何年も、目覚ましを使った記憶がない。
必要がない。
ぼんやりと起き出すとだいたいが夜明けごろだ。大きな窓のから透き間風が入り込んで来て、ふわふわと浮いた脳みそを突き刺す。
あたしは十分ぐらいをかけてゆっくりと覚醒し、重いほど重なった布団から這い出た。
11月。
冬みたいなもんだ。
この時間に起きた時は決まって、朝の散歩に行く。
誰も起きないようにこっそりと部屋を出て、こっそりと玄関を出て、こっそりと車道へ脱出した。
とたん清涼な空気が肺に飛び込んでくる。望むところだと深呼吸。
家の中の澱みに漬かった体が生まれ変わるようで、この瞬間が一番好きだった。
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