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中学3年生になった織原陽子はふてくされていた。
「亮ちゃんっ。クラス別れちゃったよ~っ」
「うん。そうだね」
幼なじみの甲斐田亮が頷く。
「なにその反応。今までずっと同じクラスだったのに、これからは離れちゃうんだよ?」
そんな平和な言葉に亮が苦笑した。
「何も会えなくなるわけじゃないんだから。だいたい家近いし」
始業式の帰り道、日が沈みかけた淡い光の中を二人で歩いているところだった。
「そうだ、今日俺ん家来る?新しい曲作ったんだ」
陽子はうーんと頭を捻ると、ぱんっと手を合わせた。
「ごめんっ。今日はお母さんがいないから、あたしが夕飯作んなきゃいけないの」
「そっかぁ。残念」
そう言った亮の声は本当に残念そうだった。
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