―秋田県道中記―

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 男は私と別れる際、あきたとは、秋田と書くのだと教えてくれた。なまはげは秋田の名物行事で、伝統行事でもあるのだと。  頑固者だからなまはげ、なのではないのだろう。きっと、互いに打ち解ける事を怠けていたから、だからなまはげと称して、その気持ちを追い出したのだ。  穏やかに笑い、深々と頭を下げる男、なまはげを見て思う。なまはげの親子はこれから仲良く暮らせるだろう、打ち解けたくないと云う怠け心は、もう追い出せたのだから――。
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