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「おれは、旬!ここ、おれんち!」
その頃の旬の印象は良く喋る元気なガキ。今の旬とは全く逆やったな。俺も俺で今みたくちゃらけた性格でもなかったし。
「お前がここまで…?なわきゃねーわな」
「とぉちゃんがここまで運んでん!でもな!にーちゃんを見つけたのはおれ!」
えっへん!と胸を張る旬が居た。
「待ってて!かぁちゃん呼んで来る~!」
そう言って部屋を飛び出そうとする旬を再び呼び止める。
「いい。もう帰る」
冗談じゃない。
これ以上此処には居たない…
見たくない。
俺は起き上がり、ベッドから出ようとしたが、不意を付かれたらしい。
「おぁっ?!」
ベッドに押し倒され、目の前には小さな体で馬乗りになる旬の姿。
「あかんのっ!にーちゃんは、おれのなの!」
はぁ?
「どけ」
思い切り睨んでやった。
そうすりゃ、殆どの人間は腰を巻いて逃げる。
「やだぁ!いややっ!にーちゃんはおれのっ!」
うるうると涙目でもう一度叫ばれた。
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