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「にーちゃん痛い?」
とたとたと歩いてきて今にも泣きそうな顔。
どうして、俺なんかの前でこいつはこんな顔すんねん…
今まで周りも誰も、そんな顔…
いや…そうだったか…?
「…チッ…ダサいわ。俺」
「にーちゃん?やっぱり痛いん?痛いの、痛いのとんでけぇ!」
俺の腹の部分を擦り、涙を溜めながら。
ドキンとした。
こんなチビに。この気持ちは…?
「貴方、名前は?あたしは、香!香お姉さんでいいでっ!」
ニコッと笑い、旬の母親が俺に問いかける。
不覚にも、見とれてしまった。
「………瀧澤…」
「いやん!タッキー?!あたし大ファンなの~!同じあだ名にしちゃうわ!」
「香!浮気はあかんからなっ!」
「かぁちゃん!にーちゃんは、おれの!あげへんの!」
…あぁ、何て愛しい。
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