第二章『夢と逢瀬と』

7/9
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「志真流を使ったでしょ?」 帰り道、夏希が当たり前のように聞いてくる。 厚志は幼い頃、彩名と供に近くの志真流道場に通っていた。 基本技に対する適性が異常な迄に高く、習い始めて3年でほぼ最高峰の技を修めるに至る。 それが、ほぼ最速の歩法の奥義【瞬光】だった。 効果は前述した通りで、これに反応出来る一般人はまずいない。 反応出来るのは、同じ領域に在る者か、高い動体視力を持つ者か、特殊なチカラを持っている者だろう。 そしてココに至る迄には、段階を踏まなければならない。 すなわち…… 【泰山】 【流水】 【火麟】 【神風】 【闇転】 【瞬光】 【刹那】 【無限】だ。 この順に技を修め、極める。 脳を刺激し、身体を鍛え上げて更に活性化させる。 脳が覚醒して、"無意識領域"に迄達すれば、全てを越えて刹那と無限に至る。 志真流の極意とは、意識と無意識を越えて同調し、己を一つの世界とする事にある。 そして、これがある意味で人の身が魔術や仙骨に頼らずに覚者に至る修練法でもある。 難しく言ったが、要は限界の中の限界を更に越えろという事だ。 己一つで完結せず、世界と一体になるという事だった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!