第二章『夢と逢瀬と』

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「仕方ないだろ?誤ってあんなタイムを出しちゃったんだから。」 ブスッとした表情で、言い訳をする厚志。 「まだ…制御仕切れてないの?」 「ああ…困った事に。」 「ホント困ったものね~。 自分の身体をまともに制御出来ないなんて。 でも、今日は久々に一緒に部活が出来て楽しかったよ厚ちゃん♪」 夏希は満面の笑顔で振り向いた。 胸は無いが美少女の夏希が、そんな風に動くと様になるし思わずドキッとなる。 厚志はつい顔を背けてしまう。 「あれ、どうしたの? 厚ちゃん、顔が紅いけど。」 「ゆ、夕日の性だろ?」 そんな事を言ってみたが、いきなり自己嫌悪に陥る。 (な~にをベタな事を言ってんだよ~俺は? 馬鹿か、馬鹿なのか? 俺って奴は………) 本当に馬鹿だった。 「なに頭を抱えてんの?」 「ほっといてくれ。」 今や何もしなくても脚が速い厚志は、競技などでは手加減をしなければならない。 そういうルールが在るわけではないが、騒ぎになるしそれに………本気になれない。 自分と同じ使い手でもなければ相手にならない以上、結果が分かってしまい面白くない。 こんな馬鹿げたタイム、相手もやる気を無くすだろうし。
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