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「覚さん 覚さん。」
「どうした」
「いつまで触っておられるのですか覚さん」
「飽きるまでだぬ。」
ハアァー、と盛大なゾジーさんの溜息が響く。
どうしようもなく、それがイライラする。
それ、というのは、ゾジーさんじゃなくて。
「んー...ゾジたぬいい匂い...」
後ろの椅子。基、バンドリーダー。
こいつは、頭ン中ピンクだからバングルカラーがピンクになったんじゃねえの?
とか心で文句を言っていると、隣で本を読んでいた咲人がこちらに目線をよこしニッコリと笑った。
それはもうドス黒いオーラが見えました。
ビクッと震えた俺に満足気に笑いそのまま瑠樺さんに顔を向けスッ、と立ち上がり目の前に立つ。
「...なんだぬ、咲人。」
尋常じゃない黒笑いに動じてない。いや気付いてない。
馬鹿だから。
「ゾ爺さん、おいで。」
優しく微笑み自分の胸元に引き寄せ包み込む咲人。
そして、
「ポカン。...ついでにMマン。ゾ自慰さんは俺のだから。勝手に触ったり勝手に妬いたりしないでくださいな。」
にっこり笑顔で(黒い)言い腕の中のゾジーさんは驚いて目を丸くし顔を真っ赤にして咲人を見上げている。
...それが可愛いけど、言わない。
...言えない。
あー...俺は一生片想いなんだろうなー、と思い知った日でした...;
fin.
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