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そんな事を思っていると教室内が急にシーンっっっとなった。
角田が戻って来たのだ。
女子達がヒソヒソ話し始める。
角田はわざとらしいくらい音を立てて座った。
誰も詰め寄らないが、オレが詰め寄っていた。
「角田、また呼ばれたのか?」
「なんだ噂が早いな」
不自然な位明るい口調で角田は答える。
「やってない。ってちゃんと言ったんだろうな?」
「もちろん言ったさ。でも連中、どうしてもオレを犯人にしたいらしい」
「って、まさか…」
「ああ、オレがやった事にすればいいよ。オレがやったんだよ!!」
と言うと足を“バン”と机の上にたたきつけた。
「…お前、安田さんの親切無駄にするのかよ。やってもない事で停学続きなんだぞ」
安田さんとは温情警官おじさんの名前である。
角田はちょーっと口をつぐんだが、
「誰かが犯人になんないと終わんねーだろ。いいんだよ。オレが犯人で」
でた。負のヒーロー気取りだ。
なんか角田は誰とも知らない真犯人をかばっている自分に酔いしれているフシがある。
嵌められているとは思っていない。
今回の事だってきっとあいつの策略に違いない…
「あのなあ…」
なおも何か言わんとしようとするオレに角田は、
「うるせーな。うだうだ言ってるとお前も殺すぞ」
はあ。これ以上何か言ったら本当に殺されそうだ。
今回は誰かが被害に遭った訳ではなく、悪質な悪戯。
で、厳重注意&体育館掃除で終わった。
後味は悪いけど、この件はこれで終わったハズだった。
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