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目が覚めた時、僕は段差の上に寝転んでいた。
段差と言っても一段や二段ではなく、幾重にも重なった段――階段の上だ。
「くそっ!ナイトメア!出て来い!」
どうせあいつの仕業に違いない、と僕は辺りを見渡したが、黒い空間が広がるばかりであるのは僕の立っている螺旋階段だけだった。
こえも反響しない、ただただ孤独な空間に僕は一人で佇んでいた。
「ナイトメア!!いるんだろ!?」
どんなに叫んでも彼は姿を見せない。
代わりに、しばらくすると音が聞こえてきた。
カツンカツン、というヒールのような足音だ。
足音は次第に近付いてくるが、その姿は見えない。
「誰だ!?」
「千代田白君……よね?」
「……池田さん?」
姿は見えないが、明らかに彼女の声だ。
しかもその声は何故か足元から聞こえているのだ。
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