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「どこにいるんですか!?池田さん!」
「君こそどこにいるのよ!姿を見せて!」
「それを言うなら池田さんだって……」
僕は声の発信元を探りながら、階段を上ったり下りたりした。
声はやはり足元から聞こえる。
そろそろと僕は階段に耳を近づけた。
カツンカツンと響く足音が、耳元で不安げに響く。
「池田さん、動かないで」
「え?う、うん」
指示を出すと足音は当然のごとき消え去り、静寂が訪れた。
僕は試しに、階段の端から下へ向かって手を伸ばした。
すると「キャっ!」と短い悲鳴が上がった。
池田奈緒本人の声だ。
僕はその声を確認すると手を引っ込めて、今度は階段の裏側を覗き込んだ。
「……いた。池田さん」
「……!!な、何をやってるの!?危ないわ!」
池田奈緒は慌てて僕の方へ駆け寄って、手を引っ張ろうとしたが、僕はそれを拒んだ。
「僕からしてみれば、池田さんの方が危ない。けど、よく分かりました。この空間において、僕の上下と池田さんの上下は逆なんですよ」
今までの人々と違い、やはり池田奈緒は《ナイトメア計画》の発案者だ。
始めこそ驚いていたが、顎に人差し指を添えて考え始めた。
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