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入っただけで気疲れした。
僕たちは近くの公園のベンチに腰掛けてボーっとしていた。
少女の方は先ほど買ったソフトクリームを物珍しそうに眺めている。
「溶けるから早く食べなよ」
「……」
扱いにくいやつだ、と僕は空を見上げながら思った。
「……おいしい」
「それはよかった」
棒読みの言葉をかけたが、少女の方はそんな事に気も留めないほどソフトクリームに夢中だった。
半分ほど食べた時、「いる?」とソフトクリームを差し出してきたが、生憎僕は甘いものが苦手だった。
「気持ちだけ貰っとく」
「……」
「……」
会話が続かない。
彼女は無口だし、僕も口下手な方だ。
何を話したらいいか、全く分からない。
「おいしい」
「……そう」
会話にもならない言葉は風に流されていった。
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