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「で、君は何者?君も《ナイトメア》なのか?」
「うん」
「君もマスターがいるのか?」
「うん」
「君と池田奈緒の家にあった人形は、何か関係あるのか?」
「うん」
「……話、ちゃんと聞いてる?」
「うん」
依然としてソフトクリームを食べ続ける上、返事は「うん」しかない。
頭を使って返事をしているのか疑わしい。
「……君は……なんか、名前がないのって不便だな」
「うん」
「本当にないのか?」
「……あったけど、忘れた。マスターが付けてくれた名前」
初めて長い文章を話した。
ただし、感情は含まれていなかった。
「名前、どうする?」
「名付けて」
「……じゃあ、バニラ。ずっとソフトクリーム、食べてるから」
少女――バニラはこくんと頷いた。
気に入った様子はない。
名前に無頓着なのだろう。
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