【二人】

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「私には自分を証明できるものがなかったけど、彼の存在を認識することで自分の存在を感じていたの。だから、私には彼が必要だった。彼が幸せなら、私も幸せだと、そう思ったの。でも……」 「でも?」 「でも、私はいつしか、彼から離れたくなった。彼を、視界に――意識化に入れたくなくなったの」 バニラは鏡を見つめた。 そこに映っているのは、紛れもなくバニラだ。 「急に欲しくなったの。確立された、《私》という存在が……。彼がいなくても証明できる、《私》が欲しかった」 「持っているだろ?現に、僕はバニラとナイトメアは別のものだと思ってる」 「それじゃダメ。彼がいなければ、私は無価値。価値が欲しいわけじゃないけど、私は……自分を証明したかったの。誰でもない、代わりの利かない《私》」 ナイトメアと一緒にいることで認識していた自分の存在。 けれど、バニラは一人の存在として認められたかったのだ。 ツインドールだから、いつもナイトメアと一緒。 ペアでなければ、誰も欲しがらない。 一人では誰も認めてくれない。 バニラはそれが辛かったのだろう。
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