保護者(隠)

2/2
前へ
/53ページ
次へ
「ゆきみ、ゆきみ」 「はいはい、レモネードだろ…ったく、待ってろ」 あぁ、どうして俺はこんなに甲斐甲斐しくもガキの世話をしなきゃならない… 名前を呼ばれただけで用件に気付いてしまうこと時点で重症だろう… まぁアイツが俺を呼ぶのなんか決まったこと以外無いしな、 溜息を漏らしながらもカップの中へと檸檬と蜂蜜を加えてお湯を注いでいく… これじゃあマジに母親じゃないか カップの中身を掻き混ぜながら膝を抱えて座る宵風の元へと歩を進める 「ほら、溢すなよ…?」 「………ありがとう…」 お礼を言えるようになったか…感心感心 小さく踞る宵風をチラリと見やれば… 雛鳥…、ヒヨコ…、猫… コイツを称する言葉が見付からない 動物的なものは感じるがどれも微妙で… とにかくこんなことを考えてても仕方がない 表の締め切りも近い…さっさと終わらせて清々しようじゃないか… 見下ろした宵風から視線を逸らしデスクに向かおうとすれば足元の布が引っ張られる感覚… 視線を再び下へと向ければ真っ直ぐな目で俺を見つめる捨てられた犬のような猫のようなそれ、 「わぁったよ、それ飲み終わるまでここにいてやるから…」 あぁ、どうして俺はこんなに甘いんだか、 頷く宵風の顔が僅かに緩んだのは気のせいだろうか その時ふと思う あぁ、何にも例えられない… 宵風は宵風だから 当たり前なようなことを思いながらも俺は、チビチビと宵風がレモネードを飲み終えるのを待つのであった 同時に、仕事はまた先送りになりそうだ ――――fin 後書き 最近リアルに雪見さんのポジションが羨ましくて仕方がありません← 私も宵風を甲斐甲斐しく世話を焼いてあげたいっ!!!!←痛 20081111
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加