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一方、衣笠達はこのゲームについての真意を議論し始めていた。
いち早く金持ちの道楽と結論付けた衣笠は6人をまとめる術を手探りであるが会話の中で探していた。
障子扉の部屋の一角、俺達が立去ろうとしたちょうど背面の上辺りにカメラのような物がある。
おそらく彼等はあのカメラを通してこちらの様子をうかがっているはずだ。
ちょうど稲尾もそれに気付いたのであろうかカメラに向って啖呵を吐いていた。
「チェケラ達~、俺は今、吉野家を辞めたぜ~」
おもしろい男だ。
この稲尾とかいう男、全てを把握した上で笑ってやがる…
ゲームを楽しむつもりだ。
おそらく俺達6人を集めた金持ちの異常者は命を賭けたゲームを仕掛けてくるつもりだ。
衣笠の推理力が部屋中を飛び交う。
出口に仕掛けられた死角にある自動操縦弾。
障子扉の前辺りにある張り巡らされた赤外線センサー。
やはり尋常じゃない。
それを紙一重で交わすように稲尾が佇んでいる。
俺はカメラに向かってニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
俺達の戦いはこうして始まろうとしていた。
コシトル
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