Opening

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  いいか。 よく考えるんだ。 まず、 俺には彼女がいない。 半年前にフラれたっきりだ。 田舎の家族とは、一週間前から離れて暮らし始めた。 車でも、そう簡単に来れる距離ではない。 仕事もしていない。 近所付き合いをする気は更々ない。 この状況をよく整理するんだ。 いいか。 俺は天才だ。 この街に来た理由を思い出せ。 才能の分からない田舎を捨てて『日本一の男』になる為ではなかったか。 そうだろ? だから整理するんだ。 俺は夜中に豆球だけで心霊サイトを見ていた。 『日本一の肝』を研く為だ。 そんな時、 誰かがドアをノックした。 今、夜中の三時だ。 気のせいなんかじゃない。 短いインターバルを取って、2回目のノックが聞こえた所だ。 いいやビビってなんかないさ。 これはたチャンスだ。 『日本一の推理力』をも身に着けるチャンスなんだ。 そうだろ? 堂々ドアを開けて確認する日本、中の上ぐらいの肝っ玉は勿論ある。 ただ、 体が動かないだけだ。 犯人に目星を付ける、日本並級の推理力も当然ある。 ただ、 パンツが濡れて集中出来ないだけだ。 田舎では、 メソと呼ばれた男・衣笠。 これから、日本一奇妙な事件に巻き込まれて行く一人であった。          ▽ゆうび▽
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