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  校舎を出て、ここら辺では“自殺の名所”として有名な森へと向かった 約20分、自転車を走らせて目的地にたどり着くと、自転車を手で押しながら更に奥へと入って行く 10分位歩いて、ようやく足を止めた 目の前には樹齢何百年‥‥いや、何千年位かもしれない程の大きな樹 その根元部分にぽっかり空いた、縦横が約1メートル位の小さな入り口の様な穴 俺達が中学生の頃に見付けた秘密の場所だ 自転車を入り口付近に立て掛け、少し腰を落として中へと入って行く 中はとても広く、俺達がそこら辺から拾い集めたり、持ってきたりしたクーラーボックスやランプ、ゴザ等がある 俺達だけの隠れ部屋 腰を下ろして、ライターでランプに灯をつけた後、途中に自販機で買ったジュースを開けた 炭酸の音がこの広い空洞に響き渡る 「智哉、話って何だ? 」 顔を上げて、少し俯いて握っているジュースを見つめたままの智哉に話し掛けた  
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