SIDE1:ハリボテ少年記

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──【兵藤空手道場】── 門下生は3ケタを越える、古くから開かれている道場だ。 そして、この道場の跡取りは… 「何をしとるか!恭一朗!! 次は“突き”100回だろうが!」 「ぶえぇんっ…!だって… ユウキのおでこから血がぁ~っ!」 この半べそをかいている少年… 兵藤恭一朗(ヒョウドウ キョウイチロウ) である。 小学一年で身長140cmはあり、眉は太くて釣り上がっており、黒髪短髪。 肌もこんがり焼けていて…いかにも『格闘家の息子…!』のような外見の恭一朗だが… 実は、血や争い事が大の苦手な、温和で気弱な性格なのだ。 皮肉にも、そんな性格の恭一朗が由緒正しき道場の唯一の跡取り息子…なのである。 もちろん、生まれた時から空手漬けの厳格な父親が、そんな気弱な恭一朗を許すはずも無く…こうやって毎日厳しい鍛練を行い、跡取りとして恥ずかしくないよう鍛え上げている。 …が、 一向に恭一朗の気弱さは変わる気配を見せない。 今もこうして、門下生の怪我を見て泣きべそかいている…。
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