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「師範(せんせい)…恭一朗は悪くありません。
僕が不注意でケガをして恭一朗を混乱させてしまって…すみません」
そう言って深々と頭を下げたのは、ここの門下生…
神林 祐希(カミバヤシ ユウキ)だ。
同じ小学一年生とは思えないほど落ち着いた…大人びた少年で、恭一朗の性格を知る唯一の門下生である。
父親は某大手食料品メーカーの代表取締役社長で、育ちの良さが言葉や仕草に表れている。
恭一朗と祐希の父親同士は旧知の仲で、祐希には他の門下生がいない時に特別に稽古をつけているらしい。
「お前が謝ることじゃない。恭一朗が気弱すぎるだけだ!!
祐希…額を手当てしてこい。」
「…はい。」
軽く頭を下げると、母屋へ駆けて行った。
「あ…僕もユウキの手当てをおてつだいに…」
「行かんでよし!!
お前は“突き”の前に腹筋・背筋50回だ!!」
「えぇ~~~っ!?(泣)」
祐希が手当てをしている間、泣く泣くメニューをこなす恭一朗であった…。
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