SIDE1:ハリボテ少年記

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「師範(せんせい)…恭一朗は悪くありません。 僕が不注意でケガをして恭一朗を混乱させてしまって…すみません」 そう言って深々と頭を下げたのは、ここの門下生… 神林 祐希(カミバヤシ ユウキ)だ。 同じ小学一年生とは思えないほど落ち着いた…大人びた少年で、恭一朗の性格を知る唯一の門下生である。 父親は某大手食料品メーカーの代表取締役社長で、育ちの良さが言葉や仕草に表れている。 恭一朗と祐希の父親同士は旧知の仲で、祐希には他の門下生がいない時に特別に稽古をつけているらしい。 「お前が謝ることじゃない。恭一朗が気弱すぎるだけだ!! 祐希…額を手当てしてこい。」 「…はい。」 軽く頭を下げると、母屋へ駆けて行った。 「あ…僕もユウキの手当てをおてつだいに…」 「行かんでよし!! お前は“突き”の前に腹筋・背筋50回だ!!」 「えぇ~~~っ!?(泣)」 祐希が手当てをしている間、泣く泣くメニューをこなす恭一朗であった…。
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