492人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいか…恭一朗。
お前は飲み込みも早いし、やはり素質がある。必要なのは…この道場の跡取りとしての自覚と自信だけだ。」
「…グスン…
そんなこと言われても…僕にはムリだよぅ…」
なんとかメニューをこなし、ゼイゼイと息を吐きながら床に大の字に寝転ぶ恭一朗に、父親お決まりの『説得作戦』が始まった。
「いいや!大丈夫だ!!
私が保証する。
お前は良い嫁をもらって、この道場を益々繁栄させていくだろう…。」
「…僕みたいに弱い奴に…おヨメさんなんて来ないよ…グスン…」
「ふっ………。
安心しろ…。それも保証する…」
「え…?」
父親の、何かを企んでいるような…何とも言えない表情が気になり聞き返した恭一朗だったが…タイミング良く祐希が戻ってきた。
「…何でもない。さぁ!祐希も戻って来たことだし、稽古を再開するぞ!」
「え゛ぇ~!?(泣)
まだ5分もたってないのに~!」
「つべこべ言うなら…
練習内容を追加するぞ…?」
「うぅっ……
やります………。」
この時の会話が
さりげな~く重要であったことなど、恭一朗が知るよしもない───。
最初のコメントを投稿しよう!