492人が本棚に入れています
本棚に追加
──PM7:05──
外で車が停まる音がした。
ついに…
ついに『婚約者』とやらがご到着みたいだ;
こうして待っている間に混乱していた頭を落ち着かせると、一つ思いついたことがあった。
『断られればイイじゃないか!』
俺が親父の言い分に逆らうことは出来ないから、俺から断るなんてことは聞き入れられないだろう…。
けれど、相手はどうだ!?
相手はきっと箱入りのお嬢様とか、もしくは同じような道場のやんちゃ娘で…“本当の俺”を知らないハズだ。
誰だって、“本当の俺”を知ったら引くだろうし、ましてや道場の跡取りがこんな気弱な男だと知ったら幻滅するだろう…。
そうすれば、俺から断らなくても、きっと相手から断ってくる…!!!
どんな相手かは知らないけれど、別に『婚約者』が居ることが嫌なわけじゃない。
ただ、俺の知らないところで勝手に話が進められていることが気に入らないだけだ───。
(来るなら来い…!!!)
へんに前向きになった俺の前に現れたのは…
白い肌にピンク色の唇が乗っていて…瞳は黒目がちで大きく…柔らかそうな栗色の真っすぐな髪の毛を二つに束ねた…
つまりは───
…ものっすごくかわいいお嬢様だった…!!
(くそぅ…これは予想外だ…///)
最初のコメントを投稿しよう!