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二人の記念日の日。
あゆは帰って来なかった。
電話をかけても出る事はなく
刻々と時間ばかりが過ぎていく。
俺は眠らずに夜明けまであゆが帰ってくるのを待った。
何故か涙が止まらない。
きっとこの時
今日が別れの日だと悟っていたんだと思う。
ポロポロとこぼれ落ちる涙がしょっぱくて
何度も涙を拭いながらあゆの帰りを待ち続けた。
ガチャッ…
朝方
鍵を回す音が聞こえて
慌てて涙を堪えて目を擦った。
俺『お帰り。
昨日は記念日だから一緒に祝おうねってあゆが言ったから仕事早めに終わらせたのに何で帰って来なかったの?』
荒ぶる感情を押し殺し冷静を装ってあゆを問いただす。
あ『親が事故にあって連絡出来なかったの…。
ごめんね…。』
何度も聞いた嘘。
俺『この前も同じ理由言ってたよね?
嘘はもういいよ。』
2人の間に沈黙が続いた。
あゆの首にはキスマークが付いていてホテル独特の匂いがする。
きっと陸と会ってたんだ。
わかっていても信じたくなかった。
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