~別れ~

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あ『本当だよ…。 信じてよ…。』 俺を抱きしめて呟くあゆ。 利用されているだけだと分かっていても 抱きしめられた時のトキメキが… まだ信じたいと頭に訴えかける。 黙る俺に話しを続ける。 あ『私ね… 親の治療の付き添いで県外に行かなきゃいけなくなったんだ。』 これも嘘。 嘘だと分かっているのに信じたフリをした。 俺『そっか。 じゃあもうさよならしなきゃなんだね…。』 少し安心したような表情を浮かべるあゆ。 あ『うん…。 ごめんね。 別れ…』 キスをして言葉を遮った。 今出来る精一杯の抵抗手段だったんだ。 お願いだから…。 終止符位は俺から打たせてよ…。 最後のワガママ位いいよね? 自分に話しかけ 俺から別れを告げた。 俺『別れよう。』 あゆは黙って頷いた。 唇を噛み締め目からは涙が溢れている。 俺『でも… 出る時はさよならじゃなくおやすみって言って?』 精一杯の作り笑顔を見て気持ちを察してくれたのだろうか? お気に入りの腕時計を外し優しく微笑みかけてくれた。 初めて会った時の微笑みと同じように… 優しく。
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