170人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうした? もう帰っていいだぞ」
「暇なら私が付き合ってあげてもいいよ」
「はっ?」
私は顔を上げると、海夢はそっぽ向いて少し間が悪い顔をしている。
その様子を見て、ああ。なるほど、と私は思った。
「なんだ。海夢、友達いなかったのか?」
と、私が苦笑しながら言うと、振り返った海夢は呆れたように目を丸くさせた。
「いるわよ!」
「あっ。ごめん……悪気はなかったんだけど、怒った?」
私はちょっと冗談がすぎたと、素直に謝った。
「怒るわよ。本当に真次って、言葉を選ばないわよね……相手が私だからいいものの、他の子だったら傷付くわよ」
「海夢だから言ったんだよ。他の子には言わないさ」
「へぇ。それは私が特別って意味?」
「ああ。そりゃ、君は俺の助手なんだし。特別扱いはしているつもりだよ」
と、私は何気ない気持ちで言ったつもりが、それを耳にした海夢は先程の怒った顔はどこに消えたのやら、にやにやと口元を綻ばせている。
最初のコメントを投稿しよう!