コインロッカー

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199X年都内某所にて、ある女が赤ちゃんを産んだものの育てられず、駅のコインロッカーに遺棄して死なせてしまうという痛ましい事件が発生した。 警察の懸命の捜査も虚しく、遺棄した人物は特定できず、その女は平穏な生活へ戻っていった... それから数年後、その女はごく平凡なサラリーマンと結婚し、幸せな家庭を築いていた。 そして、結婚2年目のその身体には、新たなる生命が宿っていた。 その女にとっては、2度目の妊娠であった。 妊娠してみて、その女は初めて、以前捨てた子供のことに思いをはせた。 「これから産もうとする子と比べ、なんて可哀相なことをしたのだろう」 女は自責の念に駆られ、人知れず涙した。 そしてその女は「せめて花だけでも添えて供養したい」と思い、花を持参して赤ちゃんを捨てたコインロッカーの所へ向かったのであった。 あの日以来、決して足を向けることのなかったその駅は、数年の歳月を経て、その雰囲気は大きく変わっていた。 そのため、女は例のコインロッカーの場所がわからず、途方に暮れるのであった。 交番や駅員、あるいは町行く人々に聞けばよいのだが「後ろめたい事をし
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