47人が本棚に入れています
本棚に追加
「こっちじゃ…」
随分と怪しげな婆に案内され、洞窟の奥へと進んでいく。
手に握られたランプだけが、唯一の光で、闇に染められた洞窟内を、わずかに照らしていた。
……俺は都心部に住む、極普通の……
至って普通の……
いや、普通に普通の……!
……まぁとにかくだ。
普通の学生である。
他の奴らと変わらずに、学校へと登校する毎日を送っていた。
これといった刺激もなければ、退屈で飽き飽きしている訳でもなかった。
そんなある日、父親から電話が来て、あるものを取ってきて欲しいと頼まれた。
それは、かなり遠い場所にあるらしく、休学届けを出してまで、取りに来させられている。
……ま、暇だったからいーんだけど。
「あの……まだですかね………?」
ひたすらに前進し続ける婆に問い掛ける。
この婆は、昔 父親に、そのあるものを封印して欲しいと頼まれたそうで、何年もそれを守り続けてきた。
……言うのが遅れたが、俺の父親はハンター……ではなくて、世界中の珍しいものを見て廻っている……まぁ言うなれば変人だ。
母親は少し前に他界した。
確か……ガンだったらしい……
最初のコメントを投稿しよう!