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……真っ白い……ウサギ……!?
「ほれ、こっちじゃ。早く来るがよい」
婆がそう言うと、ウサギはゆっくりと婆に向かって歩いてきた。
……だが、俺に気が付くと、瞬時に逃げ帰ってしまった。
「あ、あの~……」
何だかやるせない気持ちになる……
動物に嫌われると、何かブルーな気持ちになるな……
その動物が、かわいければかわいいほど、精神的ダメージは深い。
「わしとお主の父親しか、ヒトと会ったことがないのでな……少し待っておれ…」
俺にそう言うと、婆はウサギの逃げていった方向に歩いていった。
……俺はどうすればいいんだ……?
……何でウサギが封印されているんだ……?
それに、あの呪文みたいなのは一体……?
色々と試行錯誤していると、婆が戻ってきた。
「もう大丈夫じゃ……呼んでやるが良い」
……と言われても……
「名前知らないし……」
「奴の名はサキじゃ」
サキ……?
なんか人みたいな名前だな……
「サキ~」
無駄だと思うが、一応呼んでみる。
こんなんで来たら苦労しないっての…
そう思っていると、物凄い勢いで真っ白なモノが突っ込んできた。
「ほ…本当に来た…」
気付けば、俺の腕の中で、サキがうれしそうにくつろいでいた……
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