最初から超展開

5/19
前へ
/85ページ
次へ
「サキ…元に戻るがよい…」 婆がそう言うと、サキは俺の腕から、勢いよく飛び出た。 まるで、待ってましたと言わんばかりに… サキが俺と婆の少し前で立つ。 次の瞬間、サキの体が、まばゆいばかりの光に包まれ…… 「まぶしっ……!」 俺は反射的に手をかざし、光をさけていた。 ふと、手をかざしながら隣を見ると、まばたき一つしないで、光を凝視している婆が……… ……え!? 婆、なにもんだよ! やがて光は消え、俺はかざした手をゆっくりと降ろした。 すると、そこには…… 「初めまして。よろしくですじゃないですか?」 真っ白な着物を纏った、真っ白な肌をした綺麗な女性……というより、少女がいた。 「……まさか……サキ……か?」 普通に考えれば、信じられないことだが、現に俺は見てしまった。 婆の呪文やら、サキの光やら…… それで、サキが光に包まれた後、残ったこの少女はサキという結果になっても、まったくの違和感は感じない。 むしろ、それが至極当然のことと思えるほどだ。 「左様…これがサキじゃ。サキは半獣なのじゃ…」 半獣…… なるほど。確かに頭には、ウサギの頃の耳が、消えずに生えている。 ……てか、どんなファンタジーだゴルァ。 「まぁ理由はうまく言えんが……お主の父親がサキを見つけてな……。人目に触れぬよう、ここで保護してきたのじゃ……」 親父…… 変なもん見つけてんじゃねぇ……! そして、それを俺に託してんじゃねぇ……!  
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加