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「サキ…元に戻るがよい…」
婆がそう言うと、サキは俺の腕から、勢いよく飛び出た。
まるで、待ってましたと言わんばかりに…
サキが俺と婆の少し前で立つ。
次の瞬間、サキの体が、まばゆいばかりの光に包まれ……
「まぶしっ……!」
俺は反射的に手をかざし、光をさけていた。
ふと、手をかざしながら隣を見ると、まばたき一つしないで、光を凝視している婆が………
……え!?
婆、なにもんだよ!
やがて光は消え、俺はかざした手をゆっくりと降ろした。
すると、そこには……
「初めまして。よろしくですじゃないですか?」
真っ白な着物を纏った、真っ白な肌をした綺麗な女性……というより、少女がいた。
「……まさか……サキ……か?」
普通に考えれば、信じられないことだが、現に俺は見てしまった。
婆の呪文やら、サキの光やら……
それで、サキが光に包まれた後、残ったこの少女はサキという結果になっても、まったくの違和感は感じない。
むしろ、それが至極当然のことと思えるほどだ。
「左様…これがサキじゃ。サキは半獣なのじゃ…」
半獣……
なるほど。確かに頭には、ウサギの頃の耳が、消えずに生えている。
……てか、どんなファンタジーだゴルァ。
「まぁ理由はうまく言えんが……お主の父親がサキを見つけてな……。人目に触れぬよう、ここで保護してきたのじゃ……」
親父……
変なもん見つけてんじゃねぇ……!
そして、それを俺に託してんじゃねぇ……!
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