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学校!
すっかり忘れていた。
私は学校に行っていた。確かに学校に行っていた。講義の内容がぼんやりと浮かぶ。その学校の友達との帰り道……。そこから先が無い。そこから先が思い出せない。
次の記憶は、何処かの草原。脈絡の無い、断片的な記憶。一面の緑の中に私は倒れていた。背の高い細い細い草。私に纏わりつく草。風に靡く度にカサカサと心地のよい音を奏でる。
そんな私を覗き込む小さな顔。長い髪とフード付きのローブが私の顔に覆い被さる。
彼女の口が動く。『あのぅ』と間延びした呑気な声。それと同時に呆れ声を含んだ声。それが彼女との初の対面だった。
その次の記憶は赤い絵。一面の赤。その中心に倒れる女性。その女性から粘性の液体がじわりじわりと広がっている。女性の顔に見覚えはない。
私の手にはナイフ。小さな小さな刃物。
私が彼女を……?
赤く濡れ光る鋼鉄製の刃。その刃先から零れ落ちた一滴の赤い雫が、足下に広がる赤い水溜まりに一つ、また一つと同心円を広げていく。
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