第二章~邂逅――真実の門、そして始まり――

11/12
前へ
/20ページ
次へ
 頭が重い。くらくらする。輪廓の惚けた、曖昧な情報が多過ぎる。理解が出来ない。  ただ、ただ一つだけはっきりと覚えていることがある。誰だか分からない少女が初めて自分のことを『僕』と呼んだ瞬間。彼女は『わたし』と自らのことを呼称していた筈なのに……。 『僕の名前はシンシア。きみのことを月のように見守っているよ。昼間は太陽の光で見えなくても、影の世界でしか会えなくても。いつも、僕は……僕は……きみを』  そして暗転。僅かな記憶。  しかし、大切な記憶。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加