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頭が重い。くらくらする。輪廓の惚けた、曖昧な情報が多過ぎる。理解が出来ない。
ただ、ただ一つだけはっきりと覚えていることがある。誰だか分からない少女が初めて自分のことを『僕』と呼んだ瞬間。彼女は『わたし』と自らのことを呼称していた筈なのに……。
『僕の名前はシンシア。きみのことを月のように見守っているよ。昼間は太陽の光で見えなくても、影の世界でしか会えなくても。いつも、僕は……僕は……きみを』
そして暗転。僅かな記憶。
しかし、大切な記憶。
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