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しんしあノ鎌ガ彼女ノ身体ヲ貫イタ。
シンシアの鎌が彼女の身体を貫いた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
いくら他人とは言え、目の前の人間が鎌で貫かれるのを見るのは辛い。鎌の刃は綺麗に胸部を貫いていた。確実に絶命するであろう。
加えられた力に従いゆらりと傾く彼女の身体。そしてゆっくりと仰向けに倒れた。
身体から溢れ出す血は、彼女が『生きて』いた証。黒い粘性の液体が彼女を中心に広がる。
「パラレルトラベラーだとしても、船での移動によって私は生身の身体を持つ身……あぁ、やっと終わったのか。あぁ、ギョク、あなた、リィ、待っててね、もうすぐ」
彼女の虚ろな瞳は何も無い虚空を眺めているにすぎなかった。その瞳が不意に私を見つめた。
『貴女はここまでどのくらいで来れたの?』
明朗と話す言葉。息も絶え絶えの筈の彼女では有り得ない。
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