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『いい加減気付きなさい』
意味深な発言。
「いったい何の……」
『本当に分からないの?』
本当に分からない。
「あなたは、ここにいるべきではない」
不意に後ろから声がした。
血に塗られた鎌を一振り。
鮮血が宙を舞う。
照明が照らすリノリウムのような床に赤い液体が広がる。生臭い鉄の匂いをあげる彼女の身体は、もう確実に絶命している。もう口を開くことはできない。引きつってはいるがやわらかい優しい笑顔に戻っていた。
彼女の言葉を継ぐようにシンシアが続けた。
「あなたはここにいるべきではない。本来、汝のあるべき場所へ帰りなさい」
「帰れって……どうやって、どうやって帰れと?」
「それはあなたが一番よく知っているじゃない」
私が一番よく……?
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