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それから始まった新入社員研修の間、毎日、早苗と和恵は一緒だった。
食事もトイレも一緒。
共通点は年齢、それと、同じ会社に入社したことだけ。
生まれ育った場所も、住んでいる場所も違うというのに、2人の会話は尽きなかった。
早苗も和恵も性格が明るく、人見知りしない性格の故、気も合った。
和恵は、背が小さく、太っている。
顔立ちはお世辞にもいいとは言えない。
少し離れた目に、少し大きめの鼻。
魚顔とよく言われるらしい。
確かに、魚系。
でも痩せたら上戸彩似でかわいいのでは…、と思わせる顔。
ポテっとした唇は色艶が良く口紅いらず。
本人はそれが嫌なようなのだが、とても愛らしい。
和恵は、学生時代からモテることはなかった。
モテるどころか、男性とデートすらしたことがない。
「どうせ私なんか…。」
いつもそう思ってきた。
自分の体型と顔立ちに、かなりのコンプレックスを抱いている。
しかし、それをネタにして、豪快に笑いに変えてしまう天性の明るさがあった。
和恵はコンプレックスを笑いに変えることで、自分を強くみせていた。
負けず嫌いでもあった。
男性からは見向きもされないが、女性に好かれるタイプの女性。
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