異なる者

2/3
前へ
/44ページ
次へ
ジョーは、辺りの気配に細心の注意をはらいながら歩を進めていた。 ビチャ・ビチャ・と自分のたてる足音が忌々しかった。   「あぁ神様、無事にこのまま家に帰り着かせて下さい!」   その願い事が全く虚しいものへと 次の瞬間変わった・・・   ジョーの目の前に巨大な人影が立ち塞がったからだ。   その出で立ちに、ジョーは圧倒された。   長いドレッドヘアを後ろで束ね、不精髭が逞しい顎を更に強調している。180cmは軽く越しているであろう長身に加え ガッチリ広い肩幅に分厚い胸板・・・黒人?・・・ その逞しい身体にヨレヨレのアーミーロングコートを羽織っていた。 そのアーミーコートの下は、黒のタンクトップとズタズタに破れたジーンズを履いており、首にぶら下がるシルバーのチェーンネックレスのペンダントトップには、認識票らしきものがぶら下がっていた。   軍人崩れの社会と馴染めない人間が、このような掃き溜めに身を寄せて暮らしている事は、ジョーも知ってはいたが こうして面と向かって対峙したのは初めてだ。   ジョーが今まで遭ったどの人間とも全く異なる人物であった・・・。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加