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そんな美咲を見ていられず、一声かけ、自分の部屋に籠もった
自分の部屋といっても、きちんと区分けされているわけでもなく、すすり泣く声は嫌でも耳に届いてしまう
【こんな生活絶対抜け出してやる。】
真は歯を食いしばりながら横になって寝ようとするが、結局、夜明けまで眠れずにいた
翌朝、昨日の事が堪えたのか、珍しく美咲が寝坊しているので、朝食を2人前作り、さっとすまして学校へ向かう
この時期になるとほぼ授業などないので、進学希望者は自由登校となってはいるが、受験を諦めた真にとっては億劫でも行かなければならない
登校したところで真には友人などおらず、大概は一人で暇を潰している
虐められていた訳ではなく、この時代の高校生の遊びなどは必ず金がかかり、携帯も所持していない者などは誘いもきやしない
必然と誰にも干渉しなくなっていった
バイトなどをすれば遊ぶ金くらい稼げたが、徹の事や、やっと与えられた母親の愛情を感じられる時間を少しでも失いたくなかったのだ
それだけに今回の就職を決めたのは強い決意が感じられる
もう守ってもらうのをやめ、自分が守る立場になろうと決めたのである
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