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何ともいえぬ感覚を味わってしまった真の身体は、新宿から家に着くまで痺れっぱなしであった
【やばい、込み上げる熱が止まらない。こんなんでちゃんと働けるかな。】
そこにはギャンブルを毛嫌いしていた自分は無く、明日にでもあの場所に行きたい衝動を抑えるのに必死な真がいた
そんな想いに焦がれていると、いつの間にか家の手前まで辿り着く
何も変わらぬ日常であればそのまま気付かずに通りすぎてしまう程考え込んでいたが、その日はいつもとは状況が違っていた
家から罵声と破壊音が入り交じった凄まじい音が聞こえてきていたからである
【あのクソ親父…帰ってきてやがるのか!】
急いで家の中へと飛び込む真
家の中では部屋の片隅で美咲が怯えており、徹がそれに向かって物を投げながら最早聞き取れない言葉で叫んでいる
『おい!やめろ!近所迷惑だろうが!!』
徹の手首辺りを押さえつけながら真が言い放った
『なんだぁ、お前か。忌々しい顔しやがって。俺は美咲に話があるんだよ。関係ないお前は引っ込んでろ。自分で飯も食えない餓鬼が。』
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